稲葉真弓による生き生きとした言葉が綴られる詩集。
本書後記より:
タイトルに「連作・志摩」とあるのは、詩編の多くが志摩半島に関するものであり、そこでの生活が基となっているからである。年中柔らかな光に覆われた半島の隅々を、目に見えないものたち、掴み得ないものたちが絶えず通り過ぎる。その瞬間、光はなにか生き生きした、そして艶めかしいものとなって私の体にまといつく。土地の光や空気は私にとって、半島でのもうひとつの衣服のようなものであった。
その衣服を着てこの詩集と向き合うとき、半島の鳥の羽ばたき、小さな植物たちも一緒に輝く。
なんといっても、いとしく、うれしい詩集となった。